真のバリュー投資徹底講義 柳下裕紀

評価が非常に高かったのでアマゾンでぽちり。

グレアムのバリュー投資とバフェットのバリュー投資は違うという視点からバフェットのバリュー投資とはなんぞや、というDCF法の基本的な考え方から書いてある良書。特に投資コストに関しては(自分だけ?)PER、PBRの視点だけでは全く考えないことが多いので読んで非常によかった。おすすめ。

ただDCF法によるバフェット型バリュー投資法の利点は非常に納得できたのだが同時に将来のFCFをもとに考える、という点が難点。

これに関してはどう考えてもその企業のことを深く掘り下げて、売り上げの中身、その企業だけでなくその産業全体の成長性、シェア、ライバル企業など様々なことを考えないといけない。

うーん、ハードル高し。

そういうめんどくさいこと考えずにいいとこどりを考えると

・ROICが8%以上は良い会社

・通常のROICは税引き後営業利益÷投下資本

株主資本の定義はいろいろある(これがなんというか)

・有利子負債+株主資本

・固定資産+流動資産ー流動負債などもある

PBRが1を超えたときは株主資本でなく時価総額を適用のほうが正しい気がする。

結論

1 PBR1以下 ROIC 8%以上が自分の中ではしっくりくる。

2 PBR1以上の時はPBR2で修正前13% PBR3で21% PBR4で27%となる。

A銘柄EPS100円 成長ゼロ

B銘柄EPS100円 5年間毎年10%成長 その後ゼロとしたとき

C銘柄EPS100円 5年間毎年10%成長その後5%成長

資本コスト7% 余剰資産なしとして

A 企業価値  1株当たり 1528円

B 企業価値  1株当たり 2183円

C 企業価値  1株当たり 6550円

永遠に5%成長なんてありえないから机上の空論だろけど。この設定でいくらでもかわるのでCと思って見た目割高でもバリューと思って投資して爆死とか簡単におきそう。デフレ下日本での経営者の立場からするとBの5年間10%成長ってのだってそんな簡単な話じゃないと感じるが。

仮にAがPER8の800円

  BがPER11の1100円だとする。現時点ではお互い割引率50%

5年後

A 余剰資産 500円  EPS100円

B 余剰資産 670円  EPS160円

その時点での企業価値はお互いゼロ成長として

A 1528円+500円  2028円

B 2444円+670円  3114円

となり同じ割引率50%の評価だとしてもA 1000円 B 1500円となりパフォーマンス的にはBをホールドが正解、という話。

Bと同じパフォーマンスを求めるとPER7での購入が必要。

結論的に言うと

長期保有銘柄はPER激安で成長なし銘柄よりもその1.5倍くらいのPERでも成長性があったほうが良い。

逆にゼロ成長、超割安銘柄はカタリストがあること前提であったら適度に回転。

追加

D EPS100円 成長ゼロ 余剰資産500円 これがPER7の700円での購入だとすると

5年後 余剰1000円 EPS 100円で2500円の企業価値

5284 ヤマウ

福岡のコンクリート会社 売上200億 営利 5億からこの3年で     売上230億 営利11億へと高利益体質に

2020年3月にM&Aで売上20億 営利1.7~2億の会社をのれん15億ほどで買収

流動資産 138億

固定資産  79億

負債   160億

時価総額  35億

財務はあまりよくない。日本乾溜と同じく福岡銀行の優先株があったが全て償却すみでそのリスクはない。

売上は3Qまでで170億 営利9億 とのれん償却をこなして最高益

通常の4Qなら売上265億 営利18~20億で一株益@200円ほどに?

現在の550円はどう考えても安いような。

この3年の高利益体質が続くのかどうか、という点のみ。

1771 日本乾溜

低PBRの財務良い、だけでは延々低評価される、ということで見直しのきっかけが起こりそうなところを去年後半から物色。

その1つが日本乾溜

2020年2Q時で

流動資産 95億

固定資産 27億

負債総額 55億 

ネットネット 40億 1株資産は1300円ほど

時価総額 30億程度で1株益が@120ていどでPER5ほど。

配当性は10%程度で還元一切ない感じでため込むだけだったのが20億ほどかけて売上20億営業益2億 純資産7億ほどのニチボーをM&A

これで

売上135~140億→160億程度まで

営業益(のれん償却除く)9億→11億

のれんが13億としても5~6年でペイなのでそこまで割高でもない。

のれんの償却が年2億として見かけ上の営業益もニチボー分の営業益だけでペイして、フリーキャッシュフローは税金分も考えると相当大きくなる。

償却が終わる5~6年後にはゼロ成長としても1株益が@120→180程度にはなる。

ということで@600程度でIN.

その後、順調に3Q上方修正が出て630円あたりで追加買いして650ほどまで↑ まではよかったのだけど4Q決算で来年度予想が売り上げ今期と同じ+営業益今期の半分

なんで?と思いよく見るとこの数年のこの会社の来期予想常にこんな感じ。

毎年予想の2~3倍の実績を上げてもまたそういう予想。

ついでに純益の予想は前の年の予想+1000万に必ずなってるという。

この予想で630円程度から530円程度まで下がり、売り買いの板は果てしなく薄く。

540あたりから追加でひろいつつホールド 

1Qがでて

前期売上30億→44億

営業益1.3億→2.7億

流動資産 89億

固定資産 41億

負債総額 60億

粗利が5.7億→8.9億に

営業益が思ったよりものびてないのが管理費が4.4億→6.2億にあがったため。

のれんの償却費が5000万ほど(年2億ペース)

逆に言えばのれんの償却をこなして増益なっているのは予想以上に良い。

売上増加の理由はコロナ製品が売れて+3億 ニチボー分+それ以外で+11億

ニチボーの売り上げの偏在が不明だけどもこれで

2Q 売上50億+5億(ニチボー分)で55億 粗利11億 管理費6.5億で前期合計

売上100億 営業益 7.5~8億 1株益@110円ほどいくはず。

ここまではいい話題。

福岡銀行が優先株を子会社に譲渡。

日本乾溜で一番のリスクはこの優先株

パターン1 優先株200万株を増資分10億で償却→ホルダーには理想だけど福岡銀行の立場考えるとまずない。

パターン2 優先株200万株のうち8割の160万株を色を付けて(16億とか)で償却のち残り40万株→普通株120万株

この場合、ネットネットが13億+固定資産41億

株式総数630万株 仮に今期予想を自分の想定通りとすると純益で7億ほどで1株益@110円 1株資産は850円ほどに。

パターン3 優先株200万株→普通株600万株に転換

現在510万株なのでメイン銀行がそこまで乱暴なことをする可能性はかなり低いとは思うが。

その場合1株益は60円 1株資産は630円に

今回の譲渡で少なくともパターン1のバラ色未来は消えた。現在の手持ちからしてもメインバンクからすぐに転換や買取どうこうという話は出てこないと思うが頭には入れておきたい。